L.M. モンゴメリの思い出を残す、バラ博物館

カナダのオンタリオ州の大都市トロントを北へ車で数時間向かうと、トロントニアンの避暑地ムスコカ地方に着きます。このムスコカ地方の小さな村バラにモンゴメリを偲ぶ愛らしい博物館があります。バラとは英国ウエールズ地方のことばで「川と湖が出会うところ」という意味があり、その名のとおりバラはムーンリヴァーとムスコカ湖が合流している閑静な村です。
L.M.モンゴメリは、夫と二人の息子とともに1922年の夏の休暇の二週間をこの村で過ごしました。彼女が家族とともに食事をとった当時のツーリストホームが、現在、バラ博物館として一般
公開されています。
1990年のことです。バラに長年暮らしているリンダとジャック ハットンがプリンスエドワード島への新婚旅行から戻ってきた頃、 彼らのもとに一通
の手紙が届きました。差し出し人はモンゴメリの研究者メアリー ルビオ博士。内容は、バラの村がモンゴメリの作品「青い城」と関連が深いことを述べたものでした。その後、夫妻はモンゴメリ一家が食事をとったツーリストホームが売りにでていることを知り、バラの村の歴史やモンゴメリの思い出を残すためにここを買い取り、自らの手で改築し、1920年代の装いを凝らす博物館としたのです。
モンゴメリはバラの自然の美しさに大層感激し、ジャーナルにこの村のことを書き残しています。「バラは愛らしいところ、何故だかとても好き。おそらく故郷のかおりがあるからかもしれない。あちこちにたくさんある松の木のせいかもしれない。」(Selected
Journals of L.M. Montgomery: Volume III: 1921-1929).
バラで過ごした二週間の休暇の思い出が、モンゴメリの作品中最も完成度が高いと評されている大人向けのラヴストーリー「青い城」を生み出したといわれています。バラでの夢みがちな休暇を終えて、リースクデールの牧師館に戻った後、モンゴメリはエミリーシリーズの執筆の間に、この作品を喜びとともに書き上げたのでした。プリンス
エドワード島以外の土地ムスコカ地方を舞台にした「青い城」は1926年に出版されました。モンゴメリがこの本を手にしたのは、リースクデールからノーヴァルの牧師館に移った後のことでした。
バラ博物館は、バラの歴史に関する展示のみならず、モンゴメリに関する展示物も数々あります。モンゴメリが結婚の際に贈られた銀のティーサーヴィスセットや彼女の作品の初版および初期の本、「赤毛のアン」の映画で実際に使用された穴のあいたボートなど。
バラ博物館では、恒例の「アンそっくりさん大会」や「モンゴメリ一家到着記念パーティ」など催しています。
バラへの行き方: バラはトロントから北へ約200 km。高速400号線と11号を北へGravenhurst
(グレーヴェンハースト)へ向かった後、高速169号線をとって西へ向かうと約22kmでバラへ到着。バラでは、169号をRiver
Street(リヴァー通り)かMaple Street(メープル通り)で降り、2ブロックほど進むとバラ博物館の看板が見えてくる。トロントの市外地からバスが運行している。詳しくは、PMCL
Bus Linesへお問い合わせください。(416)393 7911
バラ博物館に関するお問い合わせは、リンダ(Linda) 又は、ジャック ハットン
(Jack Hutton) まで。電子メールアドレス:balamus@muskoka.com、バラ博物館のサイトはhttp://www.bala.net/museum
The Inn at Roselawn (イン
アト ローズローン)

バラ博物館斜め向かいにある建物は、ムーンリヴァーに面する静かできれいなコテッジ風のイン。
モンゴメリ一家は、このインと同じ敷地内に建っていた当時「ローズローン」と呼ばれていたボーディングハウスに泊まりました。一家が泊まった建物は残念ながら火事で消失してしまいましたが、同じデザインの建物は奇跡的に焼ける事なく残りました。それが上の写真の建物です。
木々に囲まれた緑の敷地内のテニスコートでプレイしたり、澄みきったムーンリヴァーで泳いだり、また、カヌーを借りてゆっくりムーンリヴァーを散策するのも楽しいひととき。水の音、木々のささやきに囲まれ、列車の音が響いてくると「青い城」のストーリーを思い浮かべてしまいます。
The Selected Journals of L.M. Montgomery, Volume III:
1921-1929, page 61-62:
Sunday, July 30, 1922
"Roselawn" Bala, Muskoka
「ローズローンはムスコカ川に面して立っている宿泊施設。私達はここに宿をとっているだけで、食事は、通
りを上がった*客のもてなしに大忙しのパイク夫人とかいう婦人のところでとっている。このあたりはとても素敵だ。ローズローンは、木々に縁どられた浅瀬のある川岸に向かっている。ここはいつでも美しいが、とりわけ夜ともなると、川は月のもとで銀色に光り、対岸の森のコテッジの灯かりはきらきらと輝き、かがり火は昔のキャンプファイヤーの魅惑をともなって赤々と燃え立つ。川面
に出ている数えきれないほどのカヌーと遊覧ボートから、音楽と人々の笑いが流れ渡ってくる。」
*当時モード一家が食事をとった場所は、現在、バラ博物館となっています。

「赤毛のアン」そっくりさん大会のワン シーン
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